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労働基準監督業務を民間に 規制改革推進会議で検討スタート (2017年3月13日)

今月9日に開催された「第12回規制改革推進会議」において、予定通り、労働基準監督業務の民間活用(民間への委託)の検討が始められました。

 この日の会議では、労働基準監督業務の民間活用のためのタスクフォース(特定の課題を達成するために一時的に設置される組織)の設置が決まったようです。今後の議論で、委託対象業務の範囲や民間事業者の権限などを取りまとめ、今年6月に安倍首相に提出する答申に盛り込むとのことです。
労働基準監督官の不足を補うため、定期監督業務の一部を社会保険労務士に委ねることが想定されています。今後の動向に注目です。


成績不良を理由とする解雇 東京地裁で無効判決 (2017年3月13日)

ある情報システム関連サービス企業を不当に解雇されたとして、元社員の男性が解雇無効などを求めた訴訟について、平成29年3月8日、東京地裁が、解雇を無効とし未払いの給与の支払いを命じる判決を言い渡したとの報道がありました。

男性は、平成18年に子会社に出向。「業績が低い状態が続いている」として平成26年3月に解雇されたとのことです。

裁判長は、解雇直前の男性の業績評価が5段階の相対評価で下から2番目だったことなどから、「解雇するほど深刻ではなく、配置転換などを検討すべきだった」と指摘。「解雇権の濫用にあたる」とし、今回の判決に至りました。


上記のような業績不良・能力不足を理由とする解雇については、過去にも度々争われています。過去の裁判例をみると、労働者の能力が全体の中で相対的に低位であるというだけでは就業規則上の解雇事由に該当するといえないこと、企業には解雇回避(雇用維持)のために労働者の能力向上を図るための努力が求められることなどに言及して、解雇を無効とするケースが多いです。

なお、高度の職業能力を有することを前提として中途採用された労働者が期待された能力を発揮しなかった事案においては、企業に求められる解雇回避努力の程度が軽減されるなど、通常の労働者の場合よりも、解雇の有効性が認められやすい傾向にあります。

企業の立場から見た対応としては、就業規則の普通解雇事由に「勤務成績または業務能力が不良で就業に適さないと認められたとき」、「就業状況が不良で、社員としての職責を果たし得ないと認められたとき」といった条項を置いておくことが必要となります。その上で、その条項に該当するか否かを慎重に判断することが重要ですね。裁判例において、解雇回避努力が求められていることは覚えておきたいところです。


タクシー運転手の残業代をめぐる注目の裁判 審理差戻し (2017年3月8日)

東京都大田区のタクシー会社に勤務する運転手14人が、実質的に残業代などの割増賃金が支払われない賃金規則は無効だとして、未払い賃金の支払いを求めた裁判で、最高裁第3小法廷が、規則を無効とした二審判決を破棄し、審理を高裁に差し戻す判決を言い渡したとの報道がありました。

 同社の賃金規則では、基本給のほかに、売上に応じた「歩合給」を支払うことになっていましたが、歩合給を計算する際、残業代などに相当する金額を差し引くという規則があったということです。

 一審・二審では、この規則は、割増賃金の支払い義務について定めた労働基準法37条の趣旨に反し、公序良俗違反で無効だとして、会社に計約1460万円の支払いを命じていました。
 これに対し、最高裁は、規則について、「当然に同条の趣旨に反するものとして公序良俗に反し、無効であると解することはできない」とし、有効か無効かを改めて高裁で審理するべきだとしました。

 最高裁の考え方は、「賃金規則で定めた独自の計算方法を使っても、同法が定めている水準の残業代が実質的に支払われていれば適法」といったもので、残業代が実質的に支払われていたかどうかを検討するため、審理を同高裁に差し戻したようです。
 とらえ方は色々ですが、「公序良俗違反で片づけるのではなく、実質的な判断を」ということのようです。
 タクシー業界やトラック業界では、今回問題となっているような賃金の取決め(残業をしても歩合分しか払われない)が一般化しているようです。これに対して司法がどのような判断を下すのか?裁判の行方に注目です。


大手コンビニ加盟店で労基法違反 欠勤に罰金1万円 (2017年2月27日)

今月24日、「急な欠勤に罰金を科す違法な契約をアルバイト店員に結ばせた容疑で、大手コンビニエンスストア加盟店の経営者夫婦が書類送検された」という報道がありました。

 警察の調べによりますと、加盟店の経営者夫婦は、昨年9月から12月にかけて、アルバイト店員の男女5人に、「急に欠勤した場合は1回1万円の罰金を徴収する」という内容の書類に署名させたとのことです。調べに対し2人は容疑を認め、「急に休まれると穴埋めをしなければならず、自由な時間が欲しかった」などと供述しているそうです。

 このような契約は、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)の規定に違反しますが、認識不足が招いた事件といえそうです。加盟店のフランチャイズ本部は、「加盟店に対し法令順守を徹底していきたい」とコメントしているとのことです。
 なお、先月には、同コンビニエンスストアの別の加盟店で、違法な減給があった(労働基準法第91条に違反)と話題になったばかりでした。
 経営者であれば、労働基準法による基本的な労働のルールを知っておく必要があるといえそうです。

〔確認〕労働基準法第16条(賠償予定の禁止)
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
〈補足〉この規定について、「現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止するものではない(昭和22年発基17号)」という通達が発出されています。簡単にいうと、“あらかじめ罰金などを決めておくことはダメ”ということです。上記の書類送検の話題は、この規定違反の典型といえますね。


マイナンバー 制度開始以来最大規模の流出 (2017年2月21日)

報道各社によりますと、静岡県のK市が、昨年の同市へのふるさと納税寄付者のうち、1992人分の寄付金控除の通知書に誤って別人のマイナンバーを記載し、寄付者が住む自治体に送付していたと発表したとのことです(今月16日発表)。

個人情報保護委員会(法律に基づき設置)によると、一度に大量のマイナンバーが本人以外の第三者に漏えいしたのは、平成27年10月のマイナンバー制度開始以来最大規模で、マイナンバー法で定められた「重大な事態」に当たるということです。

ふるさと納税の寄付を受けた自治体は、寄付者が住む市区町村に寄付分の税を控除をするよう通知することとされている通知書についての誤送付です。
同市は、5853人が住む685市区町への通知書を作り1月27日に送付したそうですが、同月30日に送付先の自治体から「他人のナンバーが記載されている」という連絡を受け調査。その結果、8都道県の174市区町に通知した計1992人のマイナンバーが、別人のものだったそうです。

ミスの原因は、表計算ソフトの操作を誤ったことで、通知書を作成する担当職員が、市区町別にデータを仕分けるときに、氏名欄とマイナンバー欄がずれ、別人のナンバーが印刷されたとのこです。

送付先が関係市区町に限られ、そこから外部へ流出することは考えにくいかもしれませんが、あってはならない事態ですね。

しかし、「今年から通知にマイナンバーを記載しなければならなくなり、事務作業が増えたため」と釈明した同市の総務部長のコメントを聞くと、他人事とは思えない方もいらっしゃるかもしれません。

民間企業に置き換えると、行政機関に提出する書類に従業員のマイナンバーを記入するような場合にも、記入ミスがないように注意する必要があるということですね。単純作業ですが、時間を取って慎重に行った方がよさそうですね。