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「時間外労働の上限規制」 法制化への議論開始 (2017年4月13日)

今月7日、厚生労働省において、第131回労働政策審議会(労働条件分科会)が開催されました。
 議題は、時間外労働の上限規制を中心とした働き方改革。この上限規制については、先月末に取りまとめられた「働き方改革実行計画」において、労働基準法の改正の方向性が示されているところですが、その議論が本格的に開始されました。
 経営側の委員は、「法案の成立後、企業に周知・徹底するため、施行までには十分な期間を」と求めたのに対し、労働者側の委員は、「労働者の健康を守る観点から、施行もスピーディーに行うべきだ」と反論したといった一幕もあったようです。
 また、上限規制の例外となっている自動車運輸や建設業の労働者代表からは、規制の強化を求める声も上がったとのことです。
 
 規制内容については、おおむね異議はないようですが、施行時期や規制の猶予については、もう少し調整が必要といった感じですね。厚生労働省は今後も議論を重ね、早ければ6月中に法案をまとめたい考えの模様です。


厚労省よりお知らせ「平成29年度の雇用保険料率」 (2017年4月3日)

今月31日、労働政策審議会雇用保険部会が開催され、平成29年度の雇用保険料率の引き下げが了承されました。

 予定どおり、本年4月1日から、引き下げられた雇用保険料率が適用される模様です。平成29年度の雇用保険料率は、一般の事業では1,000分の2引き下げられ、1,000分の9(労働者負担分1,000分の3/事業主負担分1,000分の6)となります。
 農林水産・清酒製造の事業及び建設の事業の率も、1,000分の2引き下げられます。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<平成29年度の雇用保険料率>
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11607000-Shokugyouanteikyoku-Koyouhokenka/0000159614.pdf


定年後の勤務 大幅な賃下げを無効とする判決 (2017年4月3日)

「定年後、勤務を延長した大学の教授や元教授ら14人が、賃金を一方的に減額されたのは不当だとして大学側に減額分の未払い賃金などの支払いを求めた訴訟について、地方裁判所は、今月30日、大学側に約1億円の支払いを命じる判決を言い渡した」という報道がありました。

 判決によりますと、大学は、労使協議の上で、平成19年4月から定年を70歳から65歳に引き下げ、希望者については70歳まで働ける制度を導入。これに合わせ、同制度の適用を受けて働く期間中の年俸を最高で約800万円とした。さらに、大学は、経営再建に向けた人件費削減を図ることとし、平成24年に就業規則を一方的に改定。平成25年4月からの年俸を約480万円に引き下げたとのことです。
 平成24年の就業規則の改定がポイントとなったようで、裁判長は「最大4割の大幅かつ急激な減額で重大な不利益が生じるにもかかわらず、代償措置や経過措置がとられなかった。教職員組合への説明も不十分だった」と指摘。「入学者数の減少などで人件費を削減する必要性はあったが、大幅な減額は不要で、無効」と判断したということです。

 就業規則の改定による労働条件の不利益変更については、いくつもの判例を経て、現在では、労働契約法10条にも規定されています。同条では、合意なしに変更できるケースが規定されていますが、これに照らすと、上記のケースが認められないことが分かると思います。
 不利益の程度が大きく、大幅な減額の必要性はなく、組合との交渉もなし、といった要素が重なって、“合理的ではない”という判断に至ったといったところでしょうか。


認定こども園で労働基準法違反の疑い (2017年3月27日)

「定員を大幅に上回る園児を受け入れていた認定こども園において、同園が住所地の市に提出していた保育士との雇用契約とは別に、一部の保育士との間で遅刻や欠勤をした場合に罰金や無給勤務を科す契約を結んでいたことが分かった」、という報道がありました。
 市は、労働基準法違反の疑いがあるとみて労働基準監督署に情報を伝えたとのことです。

 市によりますと、同園は、市に保育士の雇用期間や賃金などを記載した契約書を提出していましたが、この契約書とは別に一部の保育士との間で、欠勤や遅刻をした場合は給与から1万円減額する、保育士の休日が園の定める日数より多くなった月は超過日数に応じて給与をカットする、無断で欠勤した場合は無給で7日間ボランティア勤務をさせる、30分以上遅刻した場合は2日間ボランティア勤務をさせるなどとする契約(裏契約)を結んでいたということです。また、時間外労働をしてもその分の手当は支払われていなかったという保育士からの訴えもあったようです。
 労働基準法の「制裁規定の制限(91条)」の規定に違反していることが疑われるほか、「賃金の支払(24条)」、「割増賃金(37条)」、「年次有給休暇(39条)」などの規定の違反も疑われます。ボランティア勤務をさせていたのであれば、最低賃金違反もあるのではないでしょうか。そもそも、裏契約自体が無効ですね。

 この認定こども園、園児の数が定員オーバー、施設の温度管理がずさん、給食の管理がずさんなど、多くの問題が指摘されています。偽りの勤務表を市に提出していたなどといった報道もあり、労働基準法以外の法令や条例などに違反する行為がぼろぼろ出てきそうです。

 少し前であれば、労働基準法違反(保育士の劣悪な勤務状況)のことはそれほど注目されなかったかもしれません。しかし、働き方改革が叫ばれる中、マスコミも世論もこの手の話題に敏感になっているようで、「労働基準法違反」をメインにする報道も目立ちます。

人を雇う限り、労働基準法をはじめとする労働関係の法令を遵守することがやはり必要不可欠といえそうです。


違法残業の報道は絶えず 時間外労働の上限規制の合意内容を再確認 (2017年3月21日)

大手家電メーカーが、工場に勤務する社員に労使協定の上限を超える違法な時間外労働(残業)をさせたとして、今月15日、管轄の労働基準監督署・労働局が、労働基準法違反容疑で、法人としての同社と上司2人を書類送検したとの報道がありました。

 送検容疑は、労使協定の上限を超える違法な残業。同社工場では、40代の男性社員が昨年6月に亡くなり、今年2月に長時間労働による過労が原因だとして労災認定がされていました。これと並行し、労働基準監督署が同工場を調べていたところ、死亡した男性を含め複数の社員に対し、労使協定の上限を超える違法な残業をさせていたことが確認されたそうです。時間外労働の時間数は、最大で月130時間を超える時間だったということです。
 例のごとく、労災認定と月100時間近くの残業が重なると、書類送検という流れになりますね。この件は、過労死があったので、労働局も特に重く捉えている模様です。
 
 政府の働き方改革で、時間外労働の上限規制の制度内容が固まりつつありますが、それが、過重労働・過労死の抑止力になるとよいですね。
 もちろん、規制だけで防げるものではなく、最終的には企業努力が重要でしょう。人材確保のためにも、各企業において、生産性を維持しつつ、労働時間を減らしていく工夫が求められるといえます。