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長時間労働につながる商慣行・職場慣行ならびにその対策等は? 経団連調査 (2017年7月24日)
経団連(一般社団法人 日本経済団体連合会)は、今月18日、「2017年労働時間等実態調査集計結果」を公表しました。
この調査の調査項目は、「パートタイム労働者を除く期間を定めずに雇用されている労働者の労働時間ならびに休暇取得状況に関する事項」、「長時間労働につながる商慣行・職場慣行ならびにその対策等」です。調査時期は本年4月10日〜5月19日。回答状況は249社(対象労働者110万4389人)でした。
ここでは、「長時間労働につながる商慣行・職場慣行ならびにその対策等」に注目してみます。
•長時間労働につながりやすい商慣行→「客先からの短納期要求」が最も多く、次いで「顧客要望対応」、「海外顧客、拠点との時差による対応」と続き、顧客からの要望が多い。
•長時間労働の改善策→「顧客・外部(役所)の理解」が最も多く、次いで「適正なスケジュール・納期」、「人員配置の見直し」と続く。
•長時間労働につながりやすい職場慣行→「業務の属人化」が最多で、「時間管理意識の低さ」、「業務効率の悪さ」が続く。そのほか「残業が当たり前、美徳とする雰囲気」、「過剰な品質追求」も長時間労働の原因として挙げられている。
•職場慣行の改善策→「業務の効率化」が最多で、「定時退社日の設定」、「会議の効率化」が続く。「業務の効率化」の具体策には、特定の従業員に仕事が集中しないような取組みを含み、「定時退社日の設定」の具体策として、残業の事前届出制や、パソコンの利用時間制限等を含む。
詳しくは、こちらをご覧ください。経団連が、今後の活動(働き方改革CHALLENGE 2017)に反映させるべく実施した調査です。参考となる調査項目があるかもしれません。
<2017年労働時間等実態調査 集計結果>
>>http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/055.pdf
「お客様は神様です」という言葉が一人歩きし、若干サービス過剰になりつつある昨今の日本。便利になりすぎた社会において、長時間労働の是正は、企業努力だけではなく利用する側の意識の柔軟化が必須だと感じました。
「残業代ゼロ」法案 連合が首相に修正を要請 容認の方向 (2017年7月18日)
連合(日本労働組合総連合会)の神津会長は、今月13日、安倍総理に対して、労働基準法等改正法案(いわゆる残業代ゼロ法案)に関する要請を行いました。
ここで話題に上っているのは、平成27年に国会に提出されて以来、継続審議となっている改正法案です。この法案には、中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率を引き上ること等、連合が評価している内容も盛り込まれています。
しかし、この法案に盛り込まれている企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大や高度プロフェッショナル制度の創設については、長時間労働・過重労働を助長しかねないため、労働政策審議会の議論の段階から、連合は反対意見を表明していました。
連合としては、現在でも、これらの制度を導入すべきではないという考えには変わりはないとしつつ、このままの内容で法案が成立することへの危惧が非常に強いため、要請を行ったとのことです。
要請の内容は、次のようなものです。
・企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大について、一般的な営業職を明確に対象外とすること など
・高度プロフェッショナル制度の創設について、年間104日以上かつ4週間を通じ4日以上の休日確保を義務化すること など
詳しくは、こちらをご覧ください。
<労働基準法等改正法案に関する要請について(連合HP)>
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=1299
なお、今後について、「政府は、連合の修正要求を受け入れる方針で、今月19日までに経団連も交えた三者で「政労使合意」を結び、今秋の臨時国会に修正を加えた労働基準法等改正法案を提出する見通し」といった報道もありました。今後の動向に注目です。
マイカー通勤で死亡事故 遺族が会社を提訴 (2017年7月10日)
「平成27年2月に車にはねられて死亡した男子高校生の遺族が、先月27日、運転していた男性の勤務先の会社に対して1億9千万円の損害賠償を求めて地方裁判所に提訴した」という旨の報道がありました。
遺族側は、運転していた男性が、ガソリン代の支給を受けてマイカー通勤をしていたことから、同社にも責任があるとしています。
社員が起こした交通事故に関し、勤務先会社が被害者に対し損害賠償責任を負うか否かは、使用者である会社に、民法による使用者責任・人身事故の場合はさらに自動車損害賠償保障法による運行供用者責任があるか否かにより判断されることになります。
一般的には、
1.マイカーを通勤のみに使用し、社用(業務)には一切使用していない場合
→会社に責任なし
2.会社が積極的にマイカー通勤をさせ、通勤車両(マイカー)を社用にも使用させているような場合
→会社にも責任あり
3.1.と2.の中間的なケース(従業員が個人的な考えに基づき通勤車両を社用に使用しているような場合)
→判断が困難。ケースバイケース
その場合、継続性や会社が通勤車両につき便宜(ガソリン代・維持費等)を供与していたかなどの事情を総合的に考慮して、責任の有無を決定。
といった判断がなされます。
上記報道の件は、どのような判断が下されることになるのか、動向に注目です。
なお、マイカー通勤について、許可制をとっている会社が多いかと思いますが、車両管理規程などにより、マイカー通勤の要件、通勤車両の要件、原則として社用を禁止する旨、会社は一切責任を負わない旨などをしっかり取り決めておく必要があるでしょう。
特に、万が一に備えて、任意保険の加入を車両の要件に加えておくことが重要です。さらに、任意保険の期限切れがないように、定期的に注意を促すなどの管理を行うことも必要かもしれません。
パワハラ・セクハラで元社長を提訴へ (2017年7月10日)
「ある農業機器メーカーの社員が、元社長から日常的にパワハラやセクハラを受けていたとして、近く、損害賠償を求め元社長を提訴する」という旨の報道がありました。
社員らが、今月5日に会見を行い明らかにしたものです。会見によると、次のようなハラスメントを受けていたとのことです。
(元社長から)
・息子が生まれて間もなかったが、「こんな親に育てられる息子はかわいそうだ、ろくな人間にならない」といわれた(男性社員)。
・彼氏はいるのか、性交渉したことあるのかと聞かれた(女性社員)。
・体を触られるなどのセクハラを受けた(女性社員)。
その他、「お前は腐ったみかんだ」、「人間のくず」などと言われたなどと社員が訴えました。
録音テープも公表。「あほか、お前は、ぶっ飛ばすぞ」と、どう喝する様子も明らかに・・・
元社長は、今年2月に代表取締役を解任されましたが、これまでに30人以上が退職に追い込まれたということで、会見を開いた社員らは、今月中にも、元社長に損害賠償を求める訴訟を起こすとのことです。
この事例は、加害者が社長、内容も過激、あまりにひどすぎて異例といえるかもしれません。ここまで露骨なパワハラ・セクハラはないにしても、ちょっと声を荒げて注意してしまったことが、「パワハラ」と受け取られるようなケースもあります。
ここ最近、特にパワハラの話題がよく報道に上ります。被害を訴える労働者が増加していることは明らかで、防止対策の強化が求められています。
厚生労働省も、パワハラの専用サイト(明るい職場応援団)を作成したり、検討会(職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会)を立ち上げるなどして、防止対策の更なる強化を模索しています。
新入社員の意識調査 「人並みに働き楽しい生活をしたい」志向が強まる (2017年7月4日)
公益財団法人日本生産性本部の「職業のあり方研究会」と一般社団法人日本経済青年協議会は、今月26日、平成29年度新入社員1,882人を対象として実施した「働くことの意識」調査結果を発表しました。
昭和44年度の調査開始以来49回目を数える今回の調査。近頃の新入社員の意識の変化が表れています。
「働く目的」については、「楽しい生活をしたい」が過去最高を更新(一昨年度37.0%→昨年度41.7%→42.6%)した一方で、「自分の能力をためす」は過去最低を更新(13.4%→12.4%→10.9%)。「社会に役立つ」も減少傾向にあります。
その他、就労意識の質問について、「上司や同僚が残業していても自分の仕事が終わったら帰る」、「同僚、上司、部下と勤務時間以外はつきあいたくない」といった割合が増加しています(それぞれ48.7%、30.8%)。これらの結果から、「高いワークライフバランスへの意識と裏腹に、職場や仕事へのコミットメントは低下する傾向が見受けられる」と分析されています。
世代によって、仕事に対する意識に大きな違いがありそうですね。そのような意識の違いが、仕事の流れを悪くする”しこり”にならないよう、お互いに理解・尊重し合うことが重要といえそうですね。