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解雇規制の緩和見送り、限定正社員制度の普及を促進−産業競争力会議 (2013年4月30日)
政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)は23日、衰退産業から成長産業に労働力を移すための雇用制度改革の骨格を固めました。
これまで議論の争点となってきた「解雇規制の緩和」については、6月に策定する成長戦略に入らない方向となりました。企業経営者ら競争力会議の民間議員は、労働契約法に「解雇自由」の原則を規定し、再就職支援金を支払えば解雇できる金銭解決制度を導入するよう解雇規制の緩和を求めていましたが、今回それを取り下げたことで、社員を解雇するルールの導入は見送られる見込みです。
政府は離職する労働者の再就職を支援する事業主向けの「労働移動支援助成金」の対象を来年度にも中小企業から大企業に広げ、また離職前に職業訓練を実施した企業に上乗せするほか、雇う側の企業内訓練に助成する制度も創設するとしています。労働移動支援助成金の財源については、従業員を解雇せずに一時的に休業させる企業に支給する「雇用調整助成金」を大幅に削減し、工面する方針です。
同時に、職務や勤務地を絞った限定正社員制度の普及も促していきます。賃金については、従来の正社員より安いことが多いものの、社会保険にも加入でき、子育てや介護と両立しやすいといった利点もあり、多様な働き手の確保につながることが見込めます。厚生労働省では、新たな就業体系に対応した就業規則のひな型を作るとしています。
政府は、これまでの「雇用の維持」を柱としてきた雇用政策を、「雇用の移動支援」へと転換し、「失業なき労働移動」を実現させる考えです。
解雇制限の現状は、少数精鋭で事業運営している多くの中小企業にとっては正社員採用を躊躇してしまうほど大きな障害(敢えて言わせていただくと)にもなりつつあります。
今回は残念ながら見送られましたが、やっとこの問題に国が目を向けるようになったと思えば、最初の一歩なのかもしれません。今後の動静を注視したいと思います。
雇用安定助成金の不正受給でIT会社の元社長を送検―警視庁公安部 (2013年4月24日)
中国人従業員の教育訓練の受講を装い中小企業緊急雇用安定助成金を不正受給したとして、警視庁公安部は4月22日、詐欺容疑で東京都江東区のIT会社の中国人の元社長(45歳)を書類送検しました。
送検容疑は、同社の社長当時の2009年9月〜2010年10月、帰国中の中国人従業員4人に教育訓練を受講させたと偽り、東京労働局から助成金計約73万円を詐取した疑いです。
元社長はこれまでの不正受給分の約1500万円について、容疑を認め既に全額弁済しており、「会社の運営資金に充てた」などと供述しているとのことです。
助成金の不正受給は犯罪です! 助成金の返還は元より、企業としての社会的信頼を失う大きなリスクを負うことにもなり兼ねません。「助成金ありき」の考え方は危ういと言えるでしょう。
安倍首相、育児休業3歳まで延長を企業へ要請 (2013年4月24日)
安倍首相は、4月19日に行われる会談で、育児休業が取得できる期間を現行の1歳(原則。最長1歳6ヶ月)までから延長し、3歳まで取得可能とするよう企業に要請する方針であることが分かりました。
19日、首相官邸で経団連、経済同友会、日本商工会議所のトップと会談し、育児休業取得期間の延長のほか、全上場企業で役員の1人を女性とすること、大学生らの就職活動について開始時期を3年生の3月解禁とすることなど協力を要請するとのことです。
今後、2014年度の導入を目標に、政府は産業競争力会議で議論するとされています。
生活保護受給者215万3000人、9か月連続で最多 (2013年4月19日)
厚生労働省は4月17日、全国で生活保護を受けている人が1月時点で前月比2477人増の215万3642人となり、9か月連続で過去最多を更新したと発表しました。受給世帯も同2143世帯増の157万2966世帯と過去最多でした。
世帯別では、「65歳以上の高齢者世帯」が最も多く全体の43%(68万2428世帯)を占めているほか、けがや病気などの「傷病者世帯」が19%(29万7342世帯)、働くことのできる世代を含む「その他の世帯」が18%(28万9978世帯)となっています。
また、東日本大震災の被災者の生活保護受給世帯は、2011年3月から今年2月までの累計で1520世帯となっています。
同省は、受給者の増加に歯止めをかけるため、不正受給対策を強化する生活保護法改正案と、生活保護を受ける前の経済的に困った人に対する支援策の充実を盛り込んだ自立支援法案を今国会に提出することにしています。
不正受給に対しては断固とした措置を取りつつ、真に意味のあるセーフティーネットとしての活用が望まれます。
労働法の見直しを求め提言 経団連 (2013年4月19日)
経団連は15日、現行の労働基準法が実態に即していないとして、見直しを求める提言を発表しました。
主な提言の内容は、次のとおりです。
@企画業務型裁量労働制の対象業務や労働者の範囲の拡大
対象業務は労使の話し合いに委ね、労働者の範囲も現行法の「常態」ではなく「主として」に変更すること
A職務・地域を限定した社員の雇用や解雇のルールを法定化
特定の勤務地や職種が消滅した場合に労働契約が終了することを就業規則などで定めた場合には、その通りに契約を解除しても、解雇権の乱用に当たらないことを法律で規定すること
Aに関しては、個人的にも昨今の行き過ぎた労働紛争の増加を垣間見るにつけ、妥当な提議ではないかと思います。